ぼくは平凡な高校生だ。
父親の転勤で新しい高校に行かなくてはならない。新しい住まいから眠い目をこすりながら登校だ。どんな高校だろう。少し不安だ。
家を出て学校へ続く曲がり角の手前でニャアと鳴き声がする。見ると生後まもない仔猫がこちらを見ている。ぼくは仔猫を手招きしたが、用心したようで隣の塀の中に逃げこんでしまった。仕方ないので立ち去ろうとすると、曲がり角の道から女子高生が飛び出してきた。その娘は口にパンを咥えて「遅刻!遅刻!」と叫んでいた。よく見えなかったが美少女だったかもしれないな、と思う。すんでのところでぶつかるところだった。
腕時計を見たら、女子高生が言っていたとおりだ。ぼくも遅刻するかもしれない。急がなくては。すると、目の前に突然、白い着物姿の小さな老婆が現れた。「たわけものめが!」
なぜ老婆に怒られねばならないのかかよくわからない。「どうして怒るんです。あなたは誰ですか?」「わしは運命の女神だがや。お前は運命を勝手に狂わせたから、出てきたんだが」運命の女神……きれいな若い女性じゃないのか。こんな婆さんが。「お前はその曲がり角で遅刻しそうな女子高生とぶつかる運命だったのだ。そして罵りあいつつ別れるも後に再会を果たし、ラブラブになる。その予定をぶち壊しおって、どうするつもりだ。たいへんなことだぞ」
どうもよくわからないが、ぼくはたいへんなことをしでかしてしまったらしい。運命の女神が言うのだから。運命に逆らってしまったということか。
「どうするつもりだ、って。もう過ぎたことじゃないですか。どうしようもないですよ」
ところが運命の婆さん…いや女神はぼくを睨むと真剣な表情で言い放った。
「いや、ある。最後のチャンスだ。時を巻き戻して運命をやり直す。やらん、とは言わせんぞ」
ぼくが返事をしようとすると、運命の婆さんが消えた。いや、玄関の前だ。後ろで「いってらっしゃい」と母の声。時間がさかのぼってる。学校へ続く曲がり角を歩いている。そうだ、これからぼくは曲がり角で、パンを咥えた女子高生とぶつからなければならないのだ。
それが女神の言うぼくの運命なのだから。
ニャアと鳴き声がした。それを無視して歩き続ける。仔猫で時間を取られたのだから。
もうすぐだ。その角を過ぎたところで、ぼくはパンを咥えた美人女子高生とぶつかることになるのだ。
「うわっ」そのときぼくは足を滑らせ尻餅をついてしまった。バナナの皮を踏んだのだ。
そして、ぼくの目の前をパンを咥えた女子高生が「遅刻!遅刻!」と叫びながら走り去っていく。
しまった。今度も間に合わなかった。
「この間抜け!役立たず!」と声がする。ぼくの目の前に、あの運命の女神が顔をしかめて怒っていた。「お前は本当にあほうだな。せっかくリベンジさせたのに」
「いいですよ。あの子と友達になれないくらい、ぼくにはなんでもありませんから」
「しかし、お前とあの娘がぶつからないというのは運命に逆らうことになる。それでいいと思うのか!」とすごい迫力で攻め立ててくる。ぼくもなんだか悪い気がして「もう一回チャンスがあれば、うまくやれる気がします」といってしまった。すると運命の女神は「本当だな?よし、最後の一回やりなおしチャンスが残っている」
そう呟いて運命の女神は消えてしまった。と、同時に、ぼくはまたしても玄関を出たところに。時間が巻き戻されている。
今度はうまくやれる。あの女子高生と曲がり角でぶつかるんだ。
猫の鳴き声がしたが無視して歩き続ける。バナナの皮が落ちている。これも避ける。完璧だ。もう曲がり角まで1メートル。
べチョリ。鼻に何かがかかる。臭い。手で拭くと何かの糞だ。頭上をカラスがカァと飛んでゆく。
あいつだ!
思わず足を止めたときだった。目の前をパンを咥えた女子高生が「遅刻!遅刻!」と叫んで走り去っていった。
間に合わなかった。
「三度も運命に逆らうとは」呆れと絶望の入り交ざった表情で運命の女神が現れた。「何とも救いようのない男だ」そういわれてぼくはムッとした。「どれも思わぬ出来事に邪魔されたんですよ。不可抗力ではありませんか。もしやぼくは女子高生とぶつからない運命なのでは?」運命の女神はまたしても怒り狂った。「ぶつかるのが運命じゃ。だから二度もリトライさせたのだ。もうやり直せん。すべてお前のせいだからな」「女子高生とぶつからなかったことくらいで、なぜそんなに怒るんです?」
消えてしまった運命の女神は答えてはくれない。だから何だと言うんだ。ぼくには何も責任はない。
凄いスピードで坂の下にむかって走っていた女子高生が、外国人の男にぶつかったという話を学校で聞いた。転げたトランクから奇妙な機械が現れたとのことだ。その機械が赤く点滅を始めて、大慌てで外国人は逃げ去ったと。それは、ぼくには何にも関係ないことだ。午後から世界中でミサイル戦争が起こったことを知った。何が理由かはわからないが、もちろん、ぼくには関係ない。
ぼくにとって一番大事なのは、新しい学校に早く慣れることではないか。
30名限定!「白岳KAORUオンライン工場見学 2020」のお知らせ!-ほろ酔い気分で、白岳に乗り込むゾの巻-
「コロナの影響で、夏の思い出が作れなかった。」
「そもそも気温が高すぎて、外にすら出られなかった。」
今年の夏は、楽しみにしていたイベントが無くなった方も少なくないと思います。
そんなモヤモヤとした気持ちを抱えている、お酒好きなアナタに朗報です!
今回、白岳(高橋酒造株式会社)ではオンラインで工場見学イベントの実施を決定!
※工場見学は通常イベントとしても実施していないため、今回の工場見学はオンラインのみのプレミアムイベントにとなります。
当日は「白岳KAORU」の生みの親でもある、高橋酒造常務・高橋良輔も参戦!
KAORU開発の裏話から、皆さまの質問に対するキレキレの回答まで、縦横無尽に白岳KAORUを語り尽くします!
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イベント概要
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◆内容:オンライン多良木蒸留所&白岳伝承蔵見学
・画面の前で白岳KAORUを飲みながら、普段見ることの出来ない白岳の多良木蒸留所内と白岳伝承蔵の裏側に潜入
・当日は多良木蒸留所や白岳伝承蔵からLIVE配信の形で中継、米焼酎の歴史や美味しい飲み方を説明します
・視聴者の質問もLIVEでドシドシ受け付けます
◆日時:2020年9月19日(土)14:00スタート(14:30終了予定)
◆人数:30名
◆応募方法 :下記応募フォームより必要事項を入力
URL:https://forms.gle/VWVddxkCWBoKk5ty7
◆料金:参加費無料 ※お酒(白岳KAORU)は各自でご用意していただきます。
◆システム :ZOOMによるオンラインスタイル
◆特典:①参加者全員にKAORU Tシャツプレゼント(サイズ男女兼用のMのみ)
※当日はおそろいのKAORU Tシャツを着てご参加ください!

②HAKUTAKE ONLINE SHOPで使える期間限定クーポンプレゼント
(¥5000以下のご注文でも白岳KAORUに限り、送料無料に!)
さらに・・・
クーポンを使って白岳KAORUをご購入いただいたお客さまには
↓↓↓↓
③オリジナルプラカップ5個+オリジナル白岳くまモンコースタープレゼント

◆こんな方におすすめのイベントです!
・「われこそが白岳マニアだ」という自信があり、白岳の裏側まで知り尽くしたい!
・プロの造り手から、美味しいKAORUハイボールの作り方を聞いてみたい!
・9月4連休の初日にほろ酔いイベントをいれて、連休をパワーアップさせたい!
・お酒を飲みながら、みんなとゆるーい時間を過ごしたい!
などなど、白岳のことが大好きな人から白岳のことを全然知らない人まで楽しめるイベントになっております。是非奮ってご参加ください!
皆さまのご参加を社員一同楽しみにしております。
30名限定のイベントですのでこの機会にぜひ!
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★注意事項(お申し込み前に必ずご確認ください。)
※参加の模様は動画として各メディア、当社ホームページ・SNS等で紹介させていただく場合がございますのでご了承ください。
※当イベントはビデオ通話アプリ「Zoom」を利用します。「Zoom」にアクセスできる環境を各自事前にご準備のうえご参加をお願いいたします。(ZoomのアプリダウンロードはこちらからURL:https://zoom.us/download)
※Zoomの使用方法についてのお問い合わせには、お答えいたしかねますので、あらかじめご了承ください。
※他の参加者の迷惑となる行為はご遠慮ください。場合により退出いただくことがございます。
※当選者のみに通知する参加用のURL・パスワードなどの情報は絶対に他の方に譲渡しないことをご約束ください。
★その他の注意事項
※本イベント内での営業行為、宗教団体などへの勧誘行為は固く禁じます。
※暴力団又は暴力団員、暴力団関係団体又は関係者、その他反社会的勢力の参加は固く禁じます。
※上記に該当される方の参加が発覚した場合をはじめ、イベントの妨害に値する行為が発生した際は、その損害を補償頂きます。
※止むを得ない理由でイベントを中止させていただく場合があります。
※イベント内容は変更する場合があります。
※本イベントへの参加に伴ういかなるトラブル・損害(直接、間接の損害別を問わず)が発生したとしても弊社は一切の責任を負いかねます。
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45年前の「白岳」と父との再会
「まさか、こぎゃん形で親父が造った焼酎に巡り合えるとは思わんやったね。
貴重やけん、ゆっくり味わって呑みないよ」
そう言って父親の墓前で手を合わせるのは、高橋酒造ブレンダー・山下浩二。
今回、思わぬ形で二人を再開させてくれたのは45年ぶりに発見された「白岳」でした。
7月某日、1件の問い合わせが高橋酒造に入りました。
「これらが飲めるかどうか調べてほしい」
豪雨災害から約一ヶ月。
人吉市上薩摩瀬町のとある民家で豪雨災害の片づけをしていたところ45年前(昭和50年3月29日)に製造された「白岳」が50本ほど発見されたとのこと。
お話を伺うと、当時は新築祝いで一升瓶を50本~100本ほど贈るという風習があったそうです。

(※今回発見された45年前の「白岳」)
すぐに唎酒(利き酒)と分析を実施すると、発見された45年前の白岳は「常圧焼酎」であることが判明。
焼酎としての総合評価は決して高いものではありませんでしたが、「酒質は味が濃く、後味が力強く古酒ならではの熟成が感じられた」という結果をいただきました。
現在、高橋酒造では減圧蒸留法で焼酎を製造しておりますが
45年前は、ちょうど常圧蒸留から減圧蒸留への移行期。
今回発見された「白岳」は弊社最後の常圧蒸留法で製造した
焼酎かもしれません。
そして、この常圧「白岳」を製造した杜氏こそ山下弘光氏。
現高橋酒造ブレンダー・山下浩二の父親で、45年前高橋酒造で杜氏を務めていた人物です。
45年という年月を超えて、焼酎造りという同じ夢を追った親子が「白岳」を通じて再び出会った瞬間でした。

(※当時の杜氏・山下弘光氏(後列一番右)
現在の高橋酒造ブレンダー・山下浩二の父親)
今回、久しぶりに父親の墓参りに行った山下。
父親との会話を楽しみながら、
見つかった45年前の「白岳」を墓前に供えたそうです。

(※最後の常圧焼酎「白岳」を父親の墓前に供える
高橋酒造ブレンダー・山下浩二(令和2年8月9日))
今の時代、外に出ることもなかなか難しくなってきています。
だからこそ、今年のお盆は、お家の中で
ご先祖様とお酒を酌み交わしてみませんか。
もちろんその時は「白岳」を片手に。
第189回 奇妙な写真
怖い話が好きだと思われているようで、皆が私のところに怖い話を聞きにくる。
特に夏は怪談の委節だから、リクエストが多い。先日も数人の集まりで、やった。
そのときは心霊写真の話だった。
撮影したときは気がつかないけれど、あとで写真を見ると、何かが写っていたり、写っ ている筈のものが消えていたり。集合写真の顔と顔の間に見知らぬ顔があったりする。あるいは背後には誰もいない人物の肩あたりに腕が伸びていたり。
その解説をする。悪戯好きだったり、人がたくさん集まると喜こぶ地縛霊がいたりするんです。そんな霊だったら問題ない。でも、中には悪い霊がいて、そんなのが写っていたら大変なことになるんだよ。呪いの写真だね。でも、滅多にそういう写真はないんだよ、と。
怖い話を聞かせた数ヶ月後、そのとき参加していた一人が電話してきた。私の話が信じられないらしくシラケて聞いていた奴だ。用件を尋ねる。「ぼくの写真を見てもらえませんか? 撮るときは何もなかったのが現像したら変なものが写ってるんですよ」「じゃ、ぼくのスマホに送ってもらえませんか」「いや、使い捨てカメラで撮ってたものを現像したので」「何が写っているんですか?変なものって」
しばらく黙って彼は言った。「最初その写真を見たときには何にも写っていなかったはずですが、朝、見たら、写真の端っこにぼやぁっと小さい黒っぽいものがあって、写真汚したかなと思ったんです。で、今見たら、汚れじゃない。何か写ってる。黒いぼんやりとしたものが大きくなっている。よく見ると手足みたいなものがついている。すぐ、そちらに行っていいですか?」
すぐに彼は写真を持ってやってきた。でも、怖がらせる話はするが、私も心霊写真のホントのところはよく知らない。
「これです。これです」と写真を取り出しかけて、わっと叫ぶ。また大きくなってる」
彼が出した写真はひまわり畑の写真だった。崖沿いにひまわりが咲き乱れている。その左横にお堂がある。彼は、そのお堂の横のあたりを指した、なるほど、二センチくらいの黒い人型の塊のようなものが見える。目を凝らすと、手足らしきものが。
人間だということはわかる。
「悪い霊ですか?」私にわかる筈がない。そのとき……。黒い人影が膨張した。本当だ。見の錯覚ではない。両手を上げていた。
「これは近づいている」「どうすればいいですかね?」「写真をお焚き上げしたほうがいいですかね?やってもらえませんか?」
私には、そんな霊能力者のような力はない。
この写真の謎を解くとすれば…。
「この写真はどこで撮ったんだ?」「車で15分くらいの田舎道沿いのひまわり畑ですが」「これからその場所へ連れて行ってくれないか?」「いいですよ。すぐに行きましょう」その場所なら何かわかるかも。
確かに写真の場所は近かった。お堂がひまわり畑の横にあった。ひまわり畑は崖沿いに向こうまで続いている。
彼は自動車を駐める。確かにこの光景だ。あたりを見回す。別に影は見えない。
「あっ!」彼が叫んだ。写真を手にしている。きっと、また写真が変化したのだろう。
見ると、影は大きくなって、はっきりと人だとわかる。そして両手を上げている。怒っているのか?まだぼんやりとしているが、それは、老婆らしいことがわかる。手を上げて、口を開いて!ん?何を怒っているというのだ。彼が写真を撮ったこと?
この写真を撮影した同じ場所に立ってみる。ここだ!
崖に沿ったお堂、そしてひまわり。間違いない。「この場所で撮ったのですね」彼はそうだ、と頷く。写真を見る。
驚いて叫ぶ。「はっきりわかる。顔も表情も。手を上げている」見ると、さっきまではぼんやりとしていた影がはっきりと人の形に。やはり老婆だった。大きく口を開けている。何かこちらに叫んでいる。誰だ、この老婆は?彼も知らないと首をひねった。
わからない。謎は解けない。そこに、近所に住んでいるらしい老人が通りかかり「どうしたのかね?」と声をかけてきた。ひょっとしたら、この老人なら何か知っているのでは?この老婆がどのような魔女なのか。
「実は、ここで撮ったこの写真ですが、写っている筈のないお婆さんが写ってるんです。心当たりありませんか?」老人はどれどれと写真を手に取り見つめると、あっ!と声をあげた。心配になって尋ねる。
「呪いをかける魔女ではありませんか?」
いやいや。老人は首を横に振った。「悪さをするようなもんじゃない」
それを聞いて私たちは、ほっと胸をなでおろした。「じゃあ、いったいこのお婆さんは何者なんですか?」
「ああ、このあたりに昔から出る有名な“お知らせ婆ァ”だ。知らせてくれるんだ。危険が迫っているから注意しろとな」
「何が迫っているんですか?」
「ほら、婆ァが手を上げとるだろう。指差しとるだろう」
なるほど老婆は単に手を上げてこちらを脅しているわけではなかった。何かを指差しているのだった。お堂の上の崖の方を。
写真から顔を上げ、お堂の上の崖を見上げると……。
崖の上部が崩れ、無数の巨石がこちらに向かって転げ落ちてくる、「うわああああ」
これを知らせてくれていたのか。
「球磨焼酎ミュージアム 白岳伝承蔵」休館のお知らせ
新型コロナウィルスの感染が拡大している現況を受け、8月3日(月)から当面の間、
「球磨焼酎ミュージアム 白岳伝承蔵」の館内見学ならびに館内販売を休止させていただきます。
再開時期につきましては、高橋酒造HPサイト及び白岳伝承蔵HPサイトにてあらためてご案内差し上げます。
【対象の施設】
球磨焼酎ミュージアム 白岳伝承蔵
※なお、ECサイト等のネット販売(http://hakutake-shop.jp/)については引きつづきご対応致します。
皆様にはご迷惑とご不便をおかけし、誠に申し訳ございませんが、
何卒ご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
高橋酒造株式会社

熊本県南豪雨で被災した人吉復興支援への7千万円拠出ほか高橋酒造グループの支援活動につきまして

■球磨焼酎支援プロジェクト
https://hakutake.co.jp/kuma
熊本県南豪雨に伴う被害状況につきまして(更新)
7月4日(土)の熊本県南地区の豪雨によりお亡くなりになった方へ、謹んでご冥福をお祈りいたします。
また被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
弊社にも全国からご心配や激励、お見舞いなど、ありがたいお言葉をたくさんいただきました。幸いなことに高橋酒造の全従業員は無事であり、人吉本社、白岳酒造研究所、多良木蒸留所、白岳伝承蔵の施設、設備、原酒等に大きな被害はございません。
ただ一部商品倉庫が浸水し、出荷直前だった約3万本分の商品が被災いたしました。また弊社関係施設、そして複数の従業員の自宅に被害が出ております。
これから社員一丸となり、一日でも早く通常出荷ができる体制に復旧できるよう努力を続けて参りますので、今後ともご支援とご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
第188回 やみつき
夫が私以外のことに熱中するタイプだとは結婚前には思わなかった。しかし思い違いだったかもしれない。あれほど熱心に私にプロポーズした彼が給料を入れてくれなくなった。突然に。暴力を奮ったりはしないのだが。家計が苦しいと頼むと「わかっているよ。でも、どうしても欲しいものがあるから」と答える。ギャンブルをやっているわけでもないようだ。家に遅く帰ってくるわけでもない。
なぜ給与を入れてくれなくなったのかが、ある日突然わかる。ネット通販の会社から夫に包みが届くようになったからだ。二つ三つではない。いくつもの包みだ。
夫には悪いと思ったが包みを開けてみた。
中から出てきたのはアニメの美少女キャラの人形だった。それだけではない。動画サイトで唄っている緑色の髪のヴァーチャル美少女の人形もある。価格もわかった。どれもこれも安いものではない。こんなに買い込めば給与を家計に入れる余裕がなくなるのも当然だろう。
いわゆる美少女アニメフィギュアというやつだ。笑顔だったり、すまし顔だったり。セーラー服のスカートがめくれていたり、水着だったり。
ヘナヘナと腰から力が抜け、へたり込んだほどだ。
帰ってきた夫に問うた。「お金はあんな人形を買うために足りなくなったの?」すると悪びれもせず、夫は答える。
「そうだよ。包みを開けたのか?」
「あんな人形を集めて、どうするの?」
「だって、あんなに可愛いものはないよ。わかるだろう。もっと素敵なフィギュアも届くよ」夫の顔は嬉しそうに笑み崩れた。
街を歩いていると呼び止められた。道端の占いの老婆だった。「ちょっと。あんた。どうしたんだい。不安な気配を漂わせて。何か怪しいことがあったね!」
ずばりと言い当てられ、老婆にことの経過を包み隠さず話したのだった。
最初は平凡な夫だったのだが、ある日を境に美少女フィギュアに金を注ぎ込み家に1円も入れなくなったこと。
占いの老婆は何度もうなずいた。「ご主人の名前を書いてくれんかね」
「どうしたのですか?」「いや、ちょっと」
名前をメモ用紙に書いた。それを老婆に見せると。
「やはりそうか!」「どうしたのです?」
老婆はじっと私の目を凝視して言う。
「ただごとではないと思ったが、やはりそうか。主人はやみつきだ。」「やみつきですか」「いろんなものに依存する状態のことを、やみつき、と言う。“やみ”は“闇”とも”病み”、とも書く。“やみ”にもいろんなものがあるが、“やみ”が憑くと、激しい依存状態になってまともな生き方ができんようになる。これを治す方法は一つだけ。“やみ”を祓うんだよ」
「やみつき……いったい夫に憑いている“やみ”ってどんなのですか?」
「見たら、とてもまともではおられん邪悪な姿だよ。“やみ”は憑いている身体を離れるときに見えることがある。セーラー服の正体がわかるのはそのときだけだ。とにかく、ご主人を私のところへ連れてくることだ。激しい戦いになるかもしれん。どんな“やみ”かもわからん。しかし、避けられんことじゃ。連れてこれるかの!」
できます!と言うしかなかった。フィギュアが手に入るお祓いをしてくれるところがあるからと夫を言いくるめて、老婆のところへ連れてきた。
「お願いします」「では、“やみ”を祓いますぞ」占いの老婆が、夫の前で奇妙な飾りのついた棒をかざし、振る。すると夫の身体のまわりを霧状のものがもやもやと噴き出して実体化する。「ご主人に憑いた“やみ”じゃあ」なるほどフィギュアの少女が凶々しい姿で呻きながら、夫の身体から苦しんで出ていく。これが“やみ”だったのか。これが夫を……。それも一体ではない。何体ものフィギュア姿の“やみ”が逃げていく。だが、逃げる“やみ”の顔は、以前どこかで見たような。すべての“やみ”が去り、夫は気が抜けた表情で立っていた。これで夫は正常に。
しかし気になる。どこかで見たような“やみ”の顔。あの顔は誰……?
「“やみ”は全部追い出した。これでご主人は安心だ。しかし、“やみ”の顔が、皆奥さんそっくりとは。よほど苦しんでご主人はご主人は奥さんを慕っておるんだの」
「えっ?“やみ”が私の顔ですって。なぜ?」
すると、老婆は再び夫に向きなおる。
「まだだ。もう一体、憑きものがご主人に残っておる。これを祓わねば」
「お願いします」
またしても老婆は奇妙な棒を振り、夫に「退散!退散!」と叫んだ。すると夫の身体からずんぐりとした岩のような物体が滲み出してきた。この物体にも顔がある。
今度は私にもすぐわかる。これも私の顔だった。これは……。
「すべての“やみ”が奥さんそっくりだった理由ですよ。これが憑いていたからだ」
「なんですか?この私そっくりの顔の憑きものは」
すると老婆は大きく頷いて言った。
「奥さんそっくりの顔は、当然。ご主人にはこの“もの”が憑いておったから。だからご主人が執着するのは奥さんそっくりのものというわけ」「なんです。このあやかしは」
「これは、もの憑き!というんじゃ」
私が大好きという夫は、“やみ憑”以前にものずき……いやあ“もの憑き”だったというわけか……。
「中原丈雄の味わいの刻」番組再開のお知らせ
新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から4月17日(金)の放送より番組を休止しておりましたが、「緊急事態宣言」の解除並びに熊本県における現況を鑑みまして、6月12日(金)より番組を再開する事と致しました。
今後につきましては、状況次第では放送休止や放送延期などの対応を取る場合もございますが、感染拡大防止に十分留意し、番組制作を行なっていく所存です。これからも変わらずご覧いただけますと幸いです。
味わいの刻HP
http://ajiwainotoki.com/

お酒好きなお父さんに、プレミアムな米焼酎を
毎年6月の第3日曜日は父の日です。
お父さんって、何をあげたら喜ぶんだろう?
そういえば昔から、晩酌の時はいつも柔らかい表情をしていたっけ。
そんなお酒好きなお父さんのことを思い浮かべたなら、
今年はいつもよりちょっと贅沢な米焼酎をプレゼントしてみてはいかがでしょうか?
熊本県産の「森のくまさん」と、熊本が誇る清流で、日本三大急流の一つ「球磨川」の伏流水を使用。
究極の米、水、そして人で作り上げた「百」。百年蔵の杜氏の技が生んだ、渾身の美酒です。
1本1本丁寧に、思いを込めて作られたプレミアム焼酎『百』は、生(ストレート)で飲んでも、ロックで飲んでも、口全体に広がる香りを存分に楽しめます。
いつもの晩酌がより楽しくなるプレミアムな米焼酎。
お父さんの素敵な笑顔がたくさん見られたらいいですね。
高橋酒造では、大切な人に贈りたくなるこだわりのお酒をご用意しております。
ご購入はこちらから
https://www.hakutake.co.jp/fathersday/
