「くまもとマルシェ」@東京・神楽坂への出展と商品販売について

お客様各位

いつも高橋酒造の商品をご愛顧いただきましてありがとうございます。

本日は、11月3日(水)から5日(金)まで東京・神楽坂で開催される「くまもとマルシェ」への出展と商品販売についてのお知らせです。

【くまもとマルシェについて】
開催日時:令和3年11月3日(水)~11月5日(金)
全日15:00から21:00までオープン
場所:メゾンドツユキ http://tsuyuki.tokyo/
東京都新宿区岩戸町22番地
高橋酒造出展商品:白岳しろ 720ml、白岳KAORU 900ml、古酒KOMORIUTA、百、白岳うめぽん720ml

熊本市は東京・神楽坂で古民家レストランを舞台にした「MAISON DE KUMAMOTO City」というプロモーションを展開しており、今回の「くまもとマルシェ」はその取り組みの一つとして実施されるイベントです。当社商品以外にも熊本の特産品の販売や試食コーナーもご準備しておりますので、お気軽にお越しください。

みなさまのご来店を心よりお待ちしております。

【参加者募集】オンラインイベント『白岳KAORU🌛NIGHT』開催(参加費無料)

香る米焼酎「白岳KAORU」の発売開始から2年。
おかげさまで、全国のお客様よりご好評いただいております。
このたび日頃からご愛顧に感謝して、白岳KAORU開発者の高橋酒造6代目姉弟 高橋宏枝・良輔両常務が参加するオンラインファンイベントを実施いたします!

◆日時
2021年11月19日(金)19:00スタート
(20:30終了予定)

◆内容について(参加費無料)
ZOOMによるオンラインイベント(10~15名程度)
・高橋酒造6代目・白岳KAORU開発者の高橋宏枝・高橋良輔両常務を交えたトークイベント
・白岳KAORU飲み比べ&感想コーナー
・その他クイズや質問コーナーなど盛りだくさんの1時間半

◆応募締切
2021年11月9日(火)23:59
※当選発表は11/10(水)を予定しております。

◆応募方法
下記応募フォームより必要事項を入力
https://docs.google.com/forms/d/1UVwkF396CymcX1u6HdztG1Jbap8CmJaixQUr-d_NLhk/edit
当選者には個別EメールでZOOMアドレスを送付いたします。
・事前アンケートに回答頂きます。
・抽選を実施して当選した方にのみ、Eメールにて当選連絡を致します。
※当選発表は11/10(水)を予定
・落選の方には、個別連絡はありませんのでご了承ください。

◆イベント豪華5大特典(ご自宅に郵送)
・白岳KAORU900ml 1本
・白岳KAORU オリジナル限定Tシャツ 1着
・KAORUに合うオススメ割り材3本セット(中身は届いてからのお楽しみ)
・白岳グッズ(くまモンコースター、KAORUプラカップ×3個)
・その他イベントグッズ
※Tシャツのサイズ指定は出来ませんので、予めご了承下さい

◆こんな方におすすめのイベントです
・お酒好きとして、ぜひ開発者と直接話してみたい
・オンラインイベントを通じて、もっと酒造りのことを知りたい
・純粋に白岳KAORUが好き!限定グッズもほしい!

イベントでしか聞けない開発者の想いやマニアックな豆知識を中心に、白岳KAORUのオススメアレンジ飲み比べ、クイズ・質問コーナーなど視聴者参加型イベントも実施する予定です。気軽な雰囲気のイベントとなりますので、ぜひご応募ください。

▼ご応募はコチラ
https://docs.google.com/forms/d/1UVwkF396CymcX1u6HdztG1Jbap8CmJaixQUr-d_NLhk/edit

第205回 老人とマイタケ

 ショート・ショートの締切が近づくと産みの苦しみがやってくる。ああでもないこうでもないと話をひねり出す。だが、なかなか思い浮かばない。掲載時期も考える。秋かあ。キノコの時期かあ。
 私はキノコ採りが大好きだ。
 そうだ、キノコ採りの話にしよう。

〈私はキノコ採りが趣味だ。山に入り美味しいキノコを求めてさまよい歩く。しかし、季節は秋の短い時期に限られる。ナメコ、ムキタケ、ハナイグチ、アミタケ。キノコ採りが好きすぎて、飛行機に乗って長野まで松茸を採りに行ったほどだ。だから、食用キノコはほとんど自分の目で見つけ出し、自分の手で採った。
 ただ一種類だけを除いて。
 それはマイタケだ。スーパーの店頭にシイタケやエノキとともにならんでいる、あれ。
 なぜ、マイタケと呼ばれているかというと、山中で見つけたときにあまりの嬉しさに踊りを舞うほど。だから、マイタケ。それほど貴重なキノコなのだ。
 これまで縁がなかった。深山のミズナラの樹に限られた期間だけ発生するという。そのうち偶然に見つかるさ、と自分に言い聞かせて四十年近く経ってしまったが、未だに出会えていない。マイタケを採ったという人の話も聞いた。「市販のマイタケとは全く違うよ。香りも凄いし、味も濃い。歯応え抜群。キノコの女王だね」そこまで聞かされたら、いつかは出会いたいものだ。そう願いつつどれだけの時が経過したか。いや、マイタケと接近遭遇したことはある。十数年前、九州脊梁の山中でキノコ狩りをしていると老夫婦に声をかけられた。「キノコにくわしいんですか?このキノコ食べれますかね」掌サイズのキノコは何と…マイタケだった。「ど、どこで採られました?」「そのあたりですが」これは毒キノコです。すぐにお捨てなさい。と喉まで出かかった。そかし、「これは美味しいマイタケです。よかったですね!」何と悔しかったことか。老夫婦にはビギナーズラックの女神が微笑んだのだろう。なのに、なぜ、私には採れない。いろんな情報がそれこそ山のように私のところへ飛び込んできた。五家荘の雁俣山で採った、とか馬子岳登山道に老菌があった、とか。すべての情報に足を運び検証したが、私がマイタケと出会うことはなかった。神が私を弄んでいるのか?嘲笑したいのか?
 いつかのこと。山でクリタケの大群生を発見して喜々と採る。そこへ通りかかったキノコ籠の人、うらやましそうだったので、「マグレで採れました」と得意げに言った。とその人はキノコ籠を突き出した。「私もほどほど採れましたからいいですよ」その籠を見ると溢れんばかりの天然マイタケがのぞいていた。へなへなと腰が抜けかけたのだった。もちろん、マイタケにはその後も出会えない。
 そして今年も秋になった。やはりマイタケには縁がないのだろうか?いや、期待しすぎるから失望も大きいのだ。無心にひたすら好きなキノコ採りを続けるのだ。
 そして、その日も山へ入った。
 今日は、どのルートを選ぼうか。ハナイグチ狙いの松林なら直進だが。右手の斜面に入ってみるか。そう判断したのは、足を踏み入れていない斜面には、ひょっとしたらマイタケがある可能性を捨てられなかったからだ。そして、斜面を登り始めた。あまり歩かないルートだから踏み分けもはっきりしない。倒木を跨ぎ、岩場を足を踏み外さぬように細心の注意を払った。樹々もブナやミズナラが目立ち始めた。そして崖沿いの杣道。そこで、腰に吊るしたキノコ籠のロープがとれた。あっ、と声を上げたがキノコ籠は宙をくるくると舞い奈落のような谷底へ落ちていった。どうしよう、と一瞬迷うが、谷底も見えない。籠を探しようもない。なあに、獲物は担いで戻ればいいさ。ひたすら斜面をよじ登る。枝にしがみつき、足を伸ばして。何度も息が切れた。登山道ではない、ほぼ原生林だ。もう二度とこの場所は探せないな、と思い正面を見た。奇跡が起こった。ミズナラの巨木の根本の膨らみは……!目を疑う。間違いない。あれほど夢見たマイタケが!
 見つけた。
 近づいて目をこする。でかい。四キロほどもあるが天然物のマイタケだ。香りが凄い。あれほど夢に見たものが目の前に。神は我を見離さなかった。ナイフで切る。マイタケはずっしりとあった。だが、キノコ籠はない!崖から落してしまったから。両手で抱えて帰ろう。嬉しさに、その場で踊りだしたほどだ。帰ったら、天ぷらか、汁物か、塩焼きもいい。マイタケご飯も。両手で抱え込み下ろうとすると身体のバランスがくずれ、マイタケを岩にぶつける。パラパラと崩れる。足をすくわれ、倒れるとマイタケの塊が割れる音がする。樹々に身体を弾かれた。マイタケの破片が飛び散る。どれくらい時が経ったか。登山口まで下りてきて見た。あれだけ必死に持ち帰ったはずのマイタケが…。崩れ落ち、手の中にはマイタケの破片がかろうじて。「こんなにでかいマイタケ採ったんだ」と皆に話しても、憐れむような視線が集まるだけだ。やはり、マイタケには縁がなかったのか……〉

 できたぁ!今月のショート・ショート。主人公の悲哀が伝わってくる傑作ではないか。そう思い編集部に胸を張って持ち込んだ。ところが……。
「残念ですが、ダメですね。これはカジキマグロをマイタケに替えただけのヘミングウェイ〈老人と海〉の盗作としか言われませんよ。もっと練ってください。没です。」
 だあああーっ!そんなぁ。

団体のお客様の受け入れ再開について(球磨焼酎ミュージアム 白岳伝承蔵)

新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点から「球磨焼酎ミュージアム 白岳伝承蔵」の団体のお客様(10名以上)の館内見学を休止しておりましたが、熊本県のまん延防止等重点措置の解除を受け、今月10月4日(月)より下記の感染拡大防止対策を実施しながらお客様及び弊社スタッフの安全確保に努め受け入れを再開いたしました。

<店内および従業員の感染対策について>
以下の感染対策を行い、感染予防に努めます。
➀手指消毒・館内消毒(拭き消毒)の実施
②白岳ホールでの椅子の間隔をあけ密を避ける
③レジカウンターに飛沫防止シールドの設置
④金銭受け渡しはトレーにて
⑤定期的な換気
⑥マスク着用(スタッフ・来館者)

【ご来館のお客様へご協力のお願い】
➀ご来館時の検温と手指消毒にご協力ください。
② ご来館の際は必ずマスク着用のご協力をお願いいたします。
③ 以下に該当する方がいらっしゃいましたら、ご来館をお控えいただくようお願いいたします。
・ 風邪の症状や37.5℃以上の発熱がある方
 (解熱剤を飲んでいらっしゃる方を含みます)
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方
・ 1か月以内に新型コロナウイルス感染症の流行地への渡航歴がある方。
④ 混雑緩和のため、一時的に入場制限を行う場合がございます。
⑤ ご試飲の際に会話をされる場合は必ずマスクを着用してください。
⑥ 手指消毒、咳エチケット、ソーシャルディスタンスの確保にご協力をお願いいたします。
※今後の新型コロナウィルス感染症の感染状況によっては、館内見学を休止する場合がございます。その場合には改めて当サイトにてお知らせいたします。予めご了承ください。

皆様にはご迷惑とご不便をお掛けいたしますが、
何卒、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
白岳伝承蔵スタッフ一同、皆様のご来館を心からお待ちしております。

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球磨焼酎ミュージアム 白岳伝承蔵
http://www.denshogura.jp/
TEL:0966-32-9750
【営業時間】9:00~16:00(年末年始を除く)
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第203回 おもいでマシン

 本日は、かくも多数、私の新発明発表会にお集まり頂きありがとうございます。私は天才科学者なのですぐに大発明をしてしまう。だから発明なんて珍しいことではないのですが、今回は一般の参加者の皆さまにもぜひ発明の素晴らしさを知って頂きたいと、このような発表会のカタチにしたわけです。あまりに画期的な発明なので、お話したところでにわかに信じて頂けないかもしれない。
 理論上は先行していたのですが、現物は発表会寸前にやっと間に合ったという代物です。ですから、試験装着もまだ済ませていないのです。しかし、正しい製造法ですから間違いなく完成しているのです。
 さてこの新発明。名も先ほどつけたばかりです。
「おもいでマシン」といいます。
 なかなか趣のある詩的なネーミングだと思いませんか?
 もちろんこの機械がどのようなものなのかは、これからの実験でおわかり頂ける筈です。その前にできるだけわかりやすくお話します。
 人は一人づつそれ迄に生きてきた軌跡、すなわち人生を持っている。その人生の中では忘れられないおもいでなどというものが重要な役割を果たしています。ときおり人は生きていく上で立ち止まり、過去を心の中で再生させる。それがいわゆる、「おもいでにひたる」という行為です。
 私の発明した「おもいでマシン」は、その人の人生の中で心に刻まれているおもいでに、形を与えて具現化させ再生させる装置なのです。
 いや再生させるといっても、映像をモニター画面に映し出すといった単純なものではない。映像だけなら幾重にもCG処理して、よりリアルなものを作れるかもしれないが、本物のおもいでとは程遠い。
 本当のおもいでには、五感のすべてが含まれているものです。匂いや、音や声、そして肌触り、そのようなものが一体となっているものではありませんか?そして、おもいでが実体化したときには記憶にあるもののサイズも重要です。そのすべてを再現できるのが、このステージ上の巨大装置、おもいでマシンなのです。
 自分のおもいでを再現・実体化させたい被験者は、このヘルメット状の思考リーダーをかぶります。するとこれがおもいでを読み取り、マシンの中で空中の物質を集めて再合成させる。そして、おもいでを実体化するというわけです。おもいでの具象化という革命的発明です。
 さて、これから実験を行います。初実験です。自分のおもいでを実体化させてという方おられませんか?いかがです?遠慮されずに。あ、おられますか。さ、壇上に!
 ありがとうございます。どんなおもいでを望まれますか?初恋の女性を……いいですね。では、ヘルメットを。
 では、開始します。おもいでを思い浮かべて。初恋の女性は、どんな方ですか?
 幼い頃、憧れていた隣の家に住んでいたお姉さんにもう一度会いたい、と。今はどこにいるかもわからない。でも、あなたの心に生き続けているんですね。一生懸命思い浮かべて!
 マシンが動いています。少々音がうるさいが我慢して。
 ほら終わりました。おもいでのできあがり。マシンの把手を開いて。ゆっくり。とてもきれいな方だったのでしょう。わかります。
 うわあ。
 下がって!なんですか、これは。これが隣のお姉さん?ばけも……。いや、なんでもありません。胸が風船みたいだ。お尻がでかくて今にも破裂しそう。目もでかすぎ。まるで少女漫画の登場人物。髪の毛は……ないじゃないですか。髪は思い出せなかったって。
 そうか。あなたの頭の中で初恋のお姉さんは誇張されたんですね。そんなに泣かないで。画ごころがないからうまく思い出せない。わかります。私も子どもの頃から絵が下手だったからなあ。だから私、自分で実験しなかったんですよ。しばらくすれば消えますから、心配しないで。
 え、消えない。そんな筈は。おもいでが実体化するとそのままになる設定になっていたのか……。お待ちください。おもいでマシンの性能をもう一度チェックしてみますから。
 あ、ぼっちゃん、いつの間に壇上に。下りてください。いま、手が離せないから。
 あ、触らないで。そのヘルメットをかぶちゃダメですって!
 どうしたんです、ぼっちゃん。なに、ぼくもこのおもいでマシンを使ってみたいって?
 あ、ヘルメットをかぶってしまった!
 そんなに見たいおもいでがあるんですか?
 映画?今年見た映画で一番面白かったものをもう一度見たい、と。
 え?ブルーレイでとか映画じゃなくて本物で見たい!
 あ、あ、おもいでマシンが動き出した。どんどん膨れあがっている。もうすぐ破裂してしまいます!いったいなんの映画だったんです?ヘルメットをはずして下さい。
 え、大巨獣ゲスラ?それは怪獣映画じゃないですか?
 うわぁ、マシンが爆発してしまう。おもいでの大膨張だ。
 会場の皆さん、一刻も早く逃げて下さい!ひええええっ。

<人気&リピートNO.1!>敬老の日最強ギフトのご案内

早いもので、9月20日(祝)は「敬老の日」。
毎年、高橋酒造でも様々な敬老の日向けのギフト商品を用意しておりますが、その中でもダントツの人気とリピート実績を誇るのは、この商品なんです!

「百 23度 500ml 化粧箱入り」
百 23度 500ml 化粧箱入り

放送作家・小山薫堂さんがプロデュースした究極の米焼酎。
熊本県産米「森のくまさん」と球磨川の伏流水をつかって造りあげた贅沢な逸品です。

高橋酒造の杜氏がおすすめする飲み方は「冷やしてストレート」または「オンザロック」。「百」が持つ高貴でふくよかな味わいをお楽しみください。

ご購入はこちら

◆敬老の日に「百」がおすすめな理由①
長寿を願う「百」というメッセージ
「100歳まで元気でいて」というメッセージを伝えるギフトとして、敬老の日に大人気の「百」。末永く繁栄するという意味を込め、企業の周年などでも贈答される機会が多く、モノだけではなく想いも届けたいというお客様から好評をいただいております。

◆敬老の日に「百」がおすすめな理由②
高級感溢れるデザイン
「百」には高級ガラスメーカー「HARIO」製のボトルを採用することで、従来の焼酎にはなかったオシャレなデザインを目指しました。また、コンパクトかつ軽量で、手に持ちやすいサイズ感も贈答用として好まれる理由の一つとなっています。

「しろ(白)」を造っている会社の「一」番の焼酎として、その名がつけられた圧倒的人気を誇る究極の米焼酎「百」。
ギフトとしての風格はもちろんのこと、味にも最高の自信をもってお届けする1本です。

ぜひ、この機会にギフトと一緒に想いを運んでみませんか。


「百」をはじめとした敬老の日ギフト商品購入はこちら

第202回 根子岳の猫屋敷

 宮地までは自動車で。ヤカタガウド登山口に駐車して歩き始めたのは夕方だった。民話を知ってから気になっていた。いろいろと確かめたい。
 リュックを背負うと気が引き締まった。
 ヤカタガウドのウドとは、谷のことだ。つまり館がある谷という意味か。根子岳は阿蘇五岳の一つだが、そこに猫の王の屋敷があるという伝説がある。私は歩き始めた。岩盤が露わになった谷。両側の壁の間をたどりつつ歩いていく。見上げれば奇岩が目に飛び込んでくる。紅葉の時期もさぞや見事だろうなと思った。今は穴の空いた眼鏡岩に目を奪われていた。
 歩き始めたが夕方だったからすぐにあたりは暗くなってきた。やはり、昔話でしかなかったのだろうか?
 いくつかの谷をカーブに沿って曲がると、目に灯りが飛び込んできた。よもや。
 大きな屋敷のシルエットが見える。石の壁にへばりつくように建っている。これが、根子岳の猫屋敷なのか。
 私は屋敷に入った。すでに薄暗い。灯りはいくつかの石燈によるもので電気はここまで来ていないようだ。二十一世紀だというのに。
「ごめんください」と玄関で叫ぶ。ひたひたと奥から足音がして女が姿を見せた。
「道に迷ったのですが、一夜の宿をお願いできませんか?」と、考えていた台詞を口にした。
 女は嬉しそうに笑った。若くて恐ろしいほどの美人だった。聞いていた通りだ。
「お安いことです。食事も用意します。お風呂を使われてゆっくりお休みください」
 私は部屋に通されて、しばらくゆっくりとくつろいでいた。そのとき庭先から別の若い女が現れた。「もし、お風呂に入ったら全身猫にされてしまいます。私は、昔あなたの隣家で飼われていた三毛でございます。あなたには良くしていただいたので教えます。すぐに、ここから逃げてください」
 やはり、そうか。根子岳の猫屋敷の伝説は本当だったのか。伝説と同じ展開だなあ。
 しかし、隣の三毛がここにいたとは知らなかった。ときどき仕えに来るそうな。
 私はリュックの中から用意していたものを取り出し、風呂場へと向かう。風呂は湯が溢れそうだった。これが人を猫へと変える湯か。
 それから慌てて身支度を整え、リュックを背負うと屋敷を飛び出した。
 もうすでにあたりは暗くなっている。一刻も早く駐車場へ戻りたい。すると、「待てー」という声。見ると崖の上に人影が。私を屋敷に招き入れてくれた美女が、湯桶を持って追ってくる。美人なだけに怒ると般若以上の恐ろしい顔だった。逃げながら美人を怒らせてはいけないと、真剣に心に刻み込んでいた。
 ガレ場の終わりの砂防ダムが目の前だった。湯桶の美女の追ってくる姿はもう見えなかった。
「助かった」駐車場までようやく戻ると、へなへなと腰が抜けて座り込んでしまった。
 夜のうちに熊本市内の我が家に帰り着いた。左肘の後ろに異様な感覚があった。これか!と思い、肘を鏡に向けてみた。予想通りだった。その部分だけ円型に三毛猫の毛のようなものが生えていたのだった。
 やはり伝説ではなかった。民話はすべて本当のことを伝えていた。根子岳には猫屋敷があり、迷い込んだ人間を皆風呂に入れて、猫に変えてしまうのだ。
 それが本当だと信じたからこそ、私は根子岳まで出かけたのだった。
 リュックの中からポリタンクをゆっくりと用心深く取り出す。こぼさないように。それから小さなペットボトルにベビーポンプで湯を分け入れた。
 それから私はリストアップしておいた知り合いに次々に電話をかけまくった。
「もしもし。私ですが。今日はあなただけにとっておきのものをお奨めしようと連絡しました。効果百パーセントの養毛剤が手に入ったんです。この液体を頭に塗るだけで、すぐに毛が生え揃います。施術は私がやります。少々お高くなりますが、確実に効果のある方法ですから、そこは目をつぶってくださいませ。もう一度青春を取り戻したいと思いませんか。いや、自分には不要だと感じられたら、お使い頂かなくても構わないんですよ。無視されてけっこうです」
 すると、口には出さないが薄毛に悩んでいる人たちがいかに多いかがわかる。
 注文頂いた方の指定の場所まで出かける。そして、ビニール手袋をつけペットボトルのお湯に筆を浸して、頭の薄くなった場所に塗っていく、と、あら不思議。みるみるうちに毛が生えてくる。
 毛といっても猫の毛だ。三毛猫の毛だったり、白猫だったり、サビトラだったり、黒猫だったり。本来、この人が猫に変えられたら、そんな猫になるんだろうなという毛だった。 
 根子岳の猫屋敷の話を聞いたときから思いついていた「もし本当だったら」やってみたい商売だった。おかげで、随分と育毛処理で儲けさせてもらった。三毛だろうがキジだろうが、毛染め剤を使えば要望のままだし。猫屋敷のお湯が足りなくなればまた根子岳に行くつもりだ。ただ、これを使うとお客さんの話し方も少し変わってしまう。「高いニャー。もう少し、安くならんかニャーゴ。いや気に入っとるんだがニャー」
 それは仕方ないと思ってニャー。
 

人吉球磨アンバサダーズインタビュー第8弾|中田裕二さんのインタビューを公開!

中田 裕二

人吉球磨にゆかりのある表現者たちにスポットを当てる「人吉球磨アンバサダーズインタビュー」。連載開始から8回目となる今回は、シンガーソングライター中田裕二さんにお話を伺いました!

熊本出身のシンガーソングライターとして、他アーティストへの楽曲提供やサウンドプロデュースをはじめとして、幅広い音楽活動を展開されている中田さん。
2020年12月には、EXILE NESMITHさん、シンガーソングライターのLeolaさんとともに、熊本応援ソング「さるこうよ」をリリースするなど、地元熊本を元気にするための音楽活動にも精力的に取り組んでいます。
「さるこうよ / EXILE NESMITH, Leola & 中田裕二 (Full ver.)」
https://youtu.be/0_M1-QkaSOg

インタビューでは大好きな米焼酎の話から、現在の音楽活動につながる熊本での原体験、そして熊本の良さや文化を広く発信したいという熱い思いを存分に語っていただきました。
ぜひ、サイトでご覧ください。

人吉球磨アンバサダーズ インタビュー::中田裕二

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◇「人吉球磨アンバサダーズインタビュー」について
人吉球磨に所縁がある表現者たちのインタビューを掲載したwebコンテンツです。
各界で活躍する表現者の方々を、「アンバサダー(大使)」に任命し、インタビューを通じて人吉球磨がもつ価値や魅力を再発見していきます。

《数量限定100本販売》「HAKUTAKE The BLEND 25度900ml」について

このたび、一部流通にて限定販売しておりました「HAKUTAKE The BLEND 25度900ml」をHAKUTAKE ONLINE SHOPでも数量限定で販売致します。

 

◆「HAKUTAKE The BLEND 25度900ml」商品情報

・商品コンセプトは、“いつもより少し贅沢な「白岳」”

・麹の香りと甘味を追求した「全麹仕込み」と吟醸香の香りを追求した「吟醸酵母仕込み」の2種類の原酒を使用

・当社の杜氏が試行錯誤のうえ見つけた「黄金比ブレンド」

・ロック・炭酸割にもマッチするフルーティーな吟醸香と麹の甘みの絶妙なバランス

・ブルー瓶ボトルに「カワセミ」のラベルをあしらった限定デザイン

※カワセミは高橋酒造の創業地である多良木蒸留所によく飛来する野鳥です

 

今回の「HAKUTAKE The BLEND」は限定生産品の為、100本が売り切れ次第販売終了となります。

ご購入の際はお早めに!

第201回 忘れな草お姉さん

私の記憶では、初めて彼女に会ったのは幼稚園のときだ。一人っ子だった私は他人と諍いをおこすなどという経験はまったくなかった。遠足のとき、私のお菓子をクラスの男の子たちに取り上げられた。どうしたらいいかわからず泣き声をあげたとき、誰か甘い匂いのする人に抱きしめられた。そして「あなたにはこれを用意しているから」と代わりのお菓子を渡してくれた。顔をあげると品のあるきれいなお姉さんが笑顔で私を見ていた。甘い匂いの他にもう一つ印象に残ったこと。お姉さんがつけていたブローチだ。薄い青の小さないくつもの花。それが白いブラウスの上にあった。
彼女は突然いなくなった。どこに行ったのかわからなかった。ただ、偶然にあのときだけ出会ったのではなかった。私の心に彼女の記憶は深く刻まれていた。また会いたいと。
次に会ったのは小学生のとき。学校の帰りがけ。なかなか掛け算が覚えられないので呟きながら歩いていた。七の段になると必ずつかえてしまう。「七一が七。七二、十四……」七六まできて言葉に詰まったとき、後ろから私の肩をやさしく叩いた。「七六、四十二。七七……?」私は叫んだ。「四十九!」振り返るとあれほど会いたかったお姉さんがいた。笑顔で小首を傾げてみせた。白いニットのセーターに例の薄青の小さな花がいくつもついたブローチをつけていた。あのときと同じ花だ。「ねえ、それはなんの花?」「これ?忘れな草という花よ」名前どおり、決してそれからその花の名前を忘れることはない。七の段と九の段の掛け算を彼女は一緒に唱えてくれた。不思議なことに一人では決してスムーズには言えなかったのに、彼女と一緒に唱えると完璧に覚えこんでしまっていた。そして振り返った瞬間、彼女の姿はなくなっていた。
一つ疑問が湧いた。あのお姉さんは幼稚園のときに会ったときからまったく歳をとっていなかった。名前もわからない。でも会っているとなぜか懐かしい。
中学生になった私は学校の帰り道に公園の前を通った。いつもと少し違う風景。彼女だった。足がすくんでしまった。彼女が笑い手招きをした。最後に会ってから、彼女と会うのを何度夢見たことか。彼女は言った。「ずっと待っていたのよ」私は彼女が持っていたスケッチブックを見た。公園の風景があった。公園の樹々の間を歩いている私らしい少年が小さく描かれていた。彼女はスケッチをしていたのだった。彼女は変わっていなかった。初めて会った幼稚園のときと同じ。私は言った。「会いたかったよ」彼女は言った「私もよ」
「忘れな草」思わす私は呟いた。彼女はこのとき濃紺のダンガリーシャツを着ていたが、胸にはあの忘れな草がつけられていた。彼女に名前を尋ねようとしてためらった。女性に気安く名前を聞いていいのか?失礼なことではないのか?「とってもかわいい」と彼女は私に言った。私が口を開きかけたとき彼女は立ち上がった。「ごめんなさい。時間がないの」そして立ち去った。もちろん私は後を追った。だが、ある大樹の陰に走り込んだ彼女を追うと…彼女の姿はなかった。
それから私はいつも周囲に注意を払うようになった。いつ、忘れな草のお姉さんが現れるかわからないからだ。だが、なかなか現れてはくれなかった。
時が経ち、私は高校生になっていた。成長してあのお姉さんの年齢にずいぶん近づいたと思っていた。だが、会える機会はなかなか巡ってこなかった。
運動会の日。高校の運動会は見に来る父兄も少ない。私の出る種目は200メートル走と男子舞踏。男子舞踏とは空手の型に組み体操とダンスを組み込んだものだ。男子演舞の途中で私は彼女を見つけた。手を振り拍手をする彼女。その笑顔ははっきりと私を見ていた。演技が終わり私は彼女のいた場所へと馳けた。しかし……彼女はいなかった。あたりを走って捜した。代わりにあれは彼女だったという証拠が落ちているのを見つけた。忘れな草のブローチ。確かの彼女がここに。その頃から彼女に恋心を感じるようになった。
それが忘れな草のお姉さんと会った最後だ。彼女が誰なのかはわからないまま。大学に入り、就職してサラリーマンになったが、再び会うことはなかった。忘れな草のお姉さんの正体は誰だったのだろう。ひょっとしたら、あの懐かしい感じは親しい人なのではないか?いや、思いあたらない。やがて私はある女性と知り合い結婚した。結婚相手があのお姉さんではないかと夢想したこともあるが、似たようなところもないではないが、お姉さんとは違っていた。私はなにごともなく人生を過ごしていったが、脳裏からお姉さんの面影がなくなることはなかった。私に娘が生まれた。成長していく過程でふと、あのお姉さんは娘だったのではないかとも思った。だが違う。私のことを毛嫌いし、ろくろく話もしないまま誰かと恋愛し、嫁いでしまった。
それから何年か経って娘夫婦は近所に引っ越してきた。スープの冷めない距離だ。
そして孫娘が生まれた。孫娘は不思議に私になついた。彼女は成長するにつれて、私の若い頃のことをしきりに聞きたがるようになった。その頃だった。私の身体に死病が見つかったのは。この先あまり長くはないようだった。私を慕ってくれる孫には、そのことを包み隠さず話した。孫はそれを聞いて号泣したが顔を上げて言った。「私、テレビのアニメでタイムマシンのことを知ったの。私、発明する。そしたら、昔のおじいちゃんに会いに行っていい?」私は大きく頷いた。そしてまだ幼い歳の孫に、忘れな草のブローチを渡した。