母の日には、絵を描こう。ありったけの思いを込めて

今年も、母の日が近くなってきました。

毎年悩みがつきない母の日のプレゼントですが、今年はお酒にアレンジを加えて届けてみませんか?

HAKUTAKE ONLINE SHOP限定商品「お絵かきしろ」は、
お酒の瓶に直接メッセージやイラストを書き込んで、世界に1本のオリジナルボトルをプレゼントできます。
日頃伝えにくい感謝の気持ちを“お酒の力を借りて”じんわり伝えられる素敵な1本です。

その他にも、ギフト人気NO.1「究極の米焼酎 百」や女性でも楽しめる「白岳のリキュール2本セット」など
母の日にピッタリの人気商品を“母の日限定包装・メッセージカード付き”でお届けいたします!
※メッセージカードは母の日限定4商品のみとなります。
※包装・メッセージカードにつきましては商品ページよりお選びください。

《母の日スペシャルギフトセット》

◇お母さんへのメッセージやイラストが描けるEC限定の白岳しろ◇
『~想いを込めて~カーネーション付きお絵かきしろ』
1,260円(税込) 限定20セット

◇ゆっくり楽しんだあとは花瓶としても再利用できる白岳一の美酒◇
『特別な日には良いお酒を♪究極の米焼酎 百』
6,380円(税込) 限定20セット

◇家族でワイワイ楽しめること間違いなし!くまモンの氷ができるセット◇
『なかよく晩酌♪くまモン製氷器ギフトセット(グラス付き)』
5,038円(税込) 限定20セット

◇女性でも飲みやすい、プレゼントに喜ばれるリキュール2本セット◇
『爽やか飲み比べ「白岳のリキュール」2本セット』
3,381円(税込) 限定20セット

物だけではなく想いも届けたい母の日だからこそ、今年は筆をとってみませんか。
母の日商品は数量限定ですので、ご購入はお早めに!

令和4年熊本国税局酒類鑑評会「優等賞」受賞のお知らせ

このたび、令和4年熊本国税局酒類鑑評会において、
本格米焼酎「白岳」を製造する【高橋酒造多良木蒸留所】、【白岳酒造研究所】が見事優等賞を受賞いたしました!

酒類鑑評会は、酒類の製造技術や品質向上を目的として開催され、品質評価等を行い、
その結果特に優秀な製造技術を有すると認められた酒類製造者及び杜氏等製造責任者を顕彰しています。熊本国税局管内は、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県を有しています。

「白岳」は初入賞の1965年(昭和40年)以来、56回の入賞を果たしており、
令和4年も昨年に引き続き2つの醸造所で受賞をすることが出来ました。

これもひとえに、皆様のご愛顧の賜物と感謝申し上げます。

この受賞を励みに、社員一同ますます研鑽を重ね、皆様に喜んでいただける焼酎造りに日々努力精進してまいります。

今後も変わらぬお引き立ての程、何卒宜しくお願い申し上げます。

本格米焼酎「白岳」

【ご注意】「白岳しろ公式アカウント」を名乗る、偽アカウントにご注意ください。

お客様各位

現在SNS上にて、白岳しろ公式アカウントになりすました偽アカウントから、
キャンペーンの当選通知を装ったDM(ダイレクトメッセージ)が発信されているとの報告を確認しております。

お客様におかれましては、白岳しろ公式アカウントを装った偽アカウントからのDMへ返信、
プロフィールやDMに記載のサイトへのアクセスやクレジットカード番号等の個人情報の入力なさいませんよう、
十分にご注意いただきたく、お知らせ申しあげます。

白岳しろの各種SNS公式アカウントは下記より確認できます。
https://t.co/h3PWgq4YJo

【本日スタート】BEAR’S BOOK再販のお知らせ

先日よりお知らせしておりましたBEAR’S BOOKの再販についてですが
本日4月11日(月)12時より、BEAR’S BOOKオンラインショップ(https://ts-craft.jp/)にて販売を再開いたしました。

大変長らくお待たせいたしましたが
是非、この機会にお召し上がりください。

※今回の生産分は、ジンの風味をさらに磨き上げ、
フレッシュなボタニカルを使用しております。
ボタニカルの油分によって、白濁していることがございますが品質に問題ございません。

【BEAR’S BOOK販売サイト、メールマガジン、SNSについて】

◆BEAR’S BOOKオンラインショップ
https://ts-craft.jp/

◆メールマガジン
BEAR’S BOOKオンラインショップのページ最下部(画像参照)よりご登録いただけます。

◆BEAR’S BOOK公式SNS
Instagram  :
https://www.instagram.com/ts.craft_jp/
Facebook  :
https://www.facebook.com/Ts-CRAFT-197182799006394

【4月6日はしろの日】「お絵かきしろ」新発売!あなただけの白岳しろを!

本日4月6日は、白岳ファンお待ちかねの「しろ(46)の日」です!
今年は、しろのラベルにイラストやメッセージを自由に描くことが出来る新ボトル「お絵かきしろ」を新たにリリースいたします!

お絵かきしろ

◆プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000064466.html

今回の新ボトルは熊本出身の放送作家・小山薫堂さんがMCを務めるBSフジ「小山薫堂 東京会議」から誕生した商品で、
当社ECサイトと東京・銀座にある熊本県アンテナショップ「銀座熊本館」のみでの限定販売となっております。

◆お求めはコチラから
【当社ECサイト】
https://hakutake-shop.jp/view/category/shiroday2022
販売開始:2022年4月6日(水)10:00
※本商品は特注品のため、当社ECサイトでは200本限定販売となります。

【銀座熊本館】
https://www.kumamotokan.or.jp/
販売開始:2022年4月5日(火)

販売価格:1,210円(税込)
※通常の白岳しろ720mlと同額
※「お絵かきしろ」の売上の一部は人吉球磨の災害復旧・復興事業支援のために寄付いたします。
※「お絵かきしろ」にネックリングは付きません。ご了承ください。

今回の新ボトルはメッセージやイラストを書き込みやすいラベルデザインで、「世界に1本だけの白岳しろ」を贈ることが出来る特注モデル!
この機会に日頃の想いをラベルに描いて、大切な人への贈り物にしてみませんか?
贈られた人にとっても、特別な想い出になること間違い無しの1本です!

今日は、年に1度の「しろの日」。
ぜひ、白岳しろをみなさまでお楽しみください!

本格クラフトジン「BEAR‘S BOOK」再販のお知らせ

お客様各位

平素よりお世話になっております。
長らくお待たせしておりました、BEAR’S BOOKの次回入荷分ですが、
2022年4月11日(月)より再販できる運びとなりました。

販売は12時より、BEAR’S BOOK販売サイト(https://ts-craft.jp/)にて開始します。

※今回生産に使用したフレッシュなボタニカルの油分が多いため、多少白濁しておりますが、品質には問題ございません。

【BEAR‘S BOOK販売サイト、メールマガジン、SNSについて】

◆BEAR‘S BOOKオンラインショップ
https://ts-craft.jp/

◆メールマガジン
BEAR‘S BOOKオンラインショップのページ最下部(画像参照)よりご登録いただけます。

◆BEAR‘S BOOK公式SNS
Instagram  :
https://www.instagram.com/ts.craft_jp/
Facebook  :
https://www.facebook.com/Ts-CRAFT-197182799006394

第210回 おはりんプー!

高校受験の日まで私は女子と話したことがなかった。初めて話したのは受験会場で私の隣に座ったカズコだった。彼女は、白っぽいひらひらした服の、先生あるいは試験官に連れられて入ってきた。座る前に私を見て素敵な笑顔を浮かべて言った。
「おはりんプー!」
たぶん挨拶だと思った。なんて変わった挨拶をするのか。おはようございます、でも、こんにちはでもなく、初対面の私に「おはりんプー!」とは。吹いてしまった。
どう返したのか記憶にない。「あ、ああ」だったのか、それとも頭を下げただけか。ただ、これまでに会った女子の誰とも違っていた。彼女が言った「おはりんプー!」だけは忘れない。彼女と友だちになりたい。そんな気持ちが急速に膨れあがった。だが、どうすればいい。女子と何を話せばいいのかわからない。迷っているうちに彼女は問題を解き終えたらしく、先に会場を出る。ああ、これで彼女と友だちになるチャンスは失われた。
しかし、奇跡は起こった。私が会場を出ると彼女は外で待っていてくれた。なぜ?
こんな幸福な奇跡はない。「いっしょに帰りたいと思って」と彼女は言った。
そして彼女がカズコという名前であることを知った。私もヒロシと名乗り、つきあいがスタートしたのだった。同じ高校に通うことになったし。
彼女は素晴らしかった。成績もよかった。私が勉強を教えてもらう方だった。そしていつの間にか、カズコは私の彼女という存在になった。カズコも「私の彼!」と私を友だちに紹介するようになった。最初は照れていたが、すぐに馴れた。それから、大学も同じ。大学を出ると同時に婚約した。「どうしてぼくとつきあったの?」と尋ねた。「とても好き。タイプだったから」そんなものか?カズコは私にも尋ねた。「じゃあヒロシはなぜ私と?」答えようがない。好みだったから、としか。似たようなものか。結婚して二人で生活を始める。しばらくは共稼ぎ。一生懸命働き、休日にはよく遊んだ。映画を見たり旅行をしたり。お金に余裕ができると自動車を買った。他愛のないけんかはしても、それ以上のものではなかったし、すぐに仲直りした。やがて子どもが欲しいなということになり、カズコは専業主婦になる。三人の子に恵まれた。子どもの教育もしつけもカズコはよくやった。それでも進路や学力のことで悩んでいたようだ。カズコに苦労をかけないように身を粉にして働いた。カズコにやってやれるのは、いたわりの言葉をかけてあげるくらいか。それでもカズコは泣き言ひとつなく、知り合いの悩みの相談までやっていたのだった。親が齢をとり、そちらの面倒まで見なくてはならなくなった。「ヒロシが元気なら、私はそれでいいの」とカズコは言ってくれた。全てが順調というわけではない。次男の交通事故、台風と洪水に遭い激しい地震にも襲われた。それでもなんとか乗り切り、親を看取り三人の子どもたちを社会へ送り出した。二人とも若くはなくなった。カズコの容貌も初めて会って好きになったとき較べれば褪せている。しかし、この頃は私もカズコも外見はどうでもよくなっている。おたがい空気のような静かな日々を続けるようになった。カズコは時間があるときは地域の奉仕活動に参加し、人々の役に立つことを願いながら過ごしていた。私も私なりに自分のスキルを世のために使ってきているつもりだ。穏やかな暮らしといえる。そしてある日カズコの体調に変化があった。すぐに治る病気だと思ったが、実はそうではなかった。カズコはタチのよくない病魔に襲われたのだ。医者からカズコの病気について覚悟しておくように、と告げられた。そんなことは信じられなかった。必ず奇跡が起こる。二人で元気に笑いあいながら散歩ができる日が、また来るはずだ。悲劇的なことは考えるまい。そう自分に言い聞かせる。
やがて、カズコの介護の日々となった。医者の予告どおり、彼女の体は悪化の一途をたどった。「なにも心配せず、元気になることだけを考えた方がいい」しかし、カズコは自分のことをちゃんとわかっているようだった。そしてこう言った。「本当に今までありがとう。もし、生まれ変わることができたら、またヒロシと結婚したいなあ」「そんなこと言ってはいけない」「生まれ変わったら、また一緒になってくれる?」涙があふれた。「もちろんだよ。なぜ、急にそんなことを」カズコは驚くことを言った。
「天使みたいな人が現れて、私に言ったのよ。カズコさん。あなたはずっと人のために献身的に生きてきた。願いをかなえてあげます。なにか願いはありませんか?と言われたから、死んでも、またヒロシと一緒にいたいと。そしたら、天使が、いいですよ!って言ってくれた」「天使って、どんな人?」「白っぽいひらひらした変わった服を着た人」想像もつかない。そんな人間がいるだろうか?いや、何かおぼえがあるぞ。そうだ。高校受験の日、カズコを連れてきた人だ。そんな……。まさか!
「あのとき私が変わった挨拶をした、と言ってたよね。ヒロシ。なんて言ったの?」「忘れたの?“おはりんプー!“と言ったんだよ」「そう。わかった。今度会ったときも、ヒロシにそう言うね。おはりんプー!」その数日後、カズコは旅立ってしまった。
近ごろカズコのことをよく思い出す。
私も世のため人のため善行を積めば、“天使のような人“がやってきて願いをかなえてあげると言ってくれるのだろうか?そしたら尋ねてみよう。あの朝、私の前に現れたカズコは生まれ変わった彼女だったのか、と。
おや、白っぽいひらひらした服の人が見えたような。そうだ。私の記憶を消して高校受験の朝に戻してほしい。そうお願いしてみたら、かなえてくれるだろうか?

人気漫画家ウオズミアミと「白岳KAORU」のコラボキャンペーンがスタート!

本日より漫画家・ウオズミアミが描く3人の女性たちの物語を通じて、香る米焼酎「白岳KAORU」の魅力やその楽しみ方について広く発信する
「白岳KAORUwithウオズミアミ コラボキャンペーン」がスタートしました!

◆キャンペーン特設サイト
https://www.hakutake.co.jp/KAORU/uozumiami/
◆プレスリリースURL
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000064466.html

今回、メインコンテンツとなる漫画の作画やキャラクターデザイン、そしてストーリー構成は
「第1回 anan猫マンガ大賞」の受賞実績を持つ
ウオズミアミが完全プロデュース。

楽曲は熊本の音楽シーンで最注目の若手アーティストShiki(シキ)が制作しました。

自分にとって共感できるシーンや1番合う白岳KAORUのたしなみ方を
サイト内で楽しみながら探していただけるコンテンツとなっていますので、
ぜひ特設サイトをご覧ください!

↓キャンペーン特設サイトはこちら↓
https://www.hakutake.co.jp/KAORU/uozumiami/

【100本限定】白岳KAORU無料プレゼントキャンペーン!

3月に入って、すっかり寒さがやわらいできましたね。
まだまだ桜がつぼみの地域も多いですが、一足先にうららかな「香り」を楽しんでみませんか?

今回はそんな春のお供にあのキャンペーンが帰ってきました!

🌸【100本限定】花香る、酒香る、白岳KAORUキャンペーン🌸

新規会員様も対象となりますので、この機会にぜひHAKUTAKE ONLINE SHOPでお買い物をして、
白岳KAORUをゲットしてみてくださいね。

数量限定ですので、ご購入はお早めに!

↓くわしくはこちらから↓
https://hakutake-shop.jp/view/news/20220307163839

第209回 免許を返す

「自動運転解除」と波兵が言う。自動車は「もう少し、私にまかせてもらえませんか?」と答える。「だめだ。わしが主人なんだぞ。わしの言うとおり解除しろ」自動車は素直にその命令に従う。
 今のA I付きの自動車は二年前に波兵のために息子が買い替えさせたものだ。古希を過ぎたあたりで波兵の運転能力を心配するようになった。そしてA I運転機能付きの自動車に買い替えさせたのだ。これなら、行先を告げただけで自動車は波兵を目的地に運んでくれる。だが、家族が乗っていないときは、すぐに波兵はA I運転機能を解除してしまう。「機械に運転を任せていたら、どんどん自分の運転能力は低下してしまう。そんなの我慢できんわい。自分で運転できるうちは自分でやるんじゃ」というのが波兵の理屈だった。家族から見送られて家を出るときは、もちろんA I運転で出発する。「今度、もし運転して何かあったらお父さん、自動車免許は返納してもらいますからね」そう家族には言われている。「そんなのわかっとるわい」と憎まれ口を叩くのは忘れない。運転の醍醐味とは自分でアクセルを踏み込んでハンドルを操作するところにあると信じている。
「話しかけてもいいぞ」と波兵が自動車に言う。遠慮していた自動車は、波兵に嫌われない程度に声をかける。「春らしく風が気持ちいいでしょう」「あたりまえだ。気持ち悪いなら窓閉めるし、そもそも運転しないよ」「ブレーキは早め、早めにお願いしますね」「そんなの、危ないときに止めてくれるのがA Iだろうに」「でも、今は波兵さんの運転ですから、私はブレーキをかけられませんよ」「そういうときはブレーキをかければいい」「これから細い道でカーブが続きます。心して安全運転をお願いします」「いちいち言われなくてもわかってるよ。ドライブテクニックには自信があるんだ。これがわしの楽しみの一つでなあ。ほら、ヘアピンカーブだ!」「なるほど、独特な軋み音ですね」「おや、お前は怖くないのか?わしの運転で」「私に怖がる機能はありません」「へぇ、話せるやつだな。よし、もう少しタイヤを響かせてやるか!」
 そしてある日のこと、波兵が楽しみを奪われることになる日が突然やってきた。
 自動車の自動運転を解除して波兵がハンドルを握っていたときだった。道の反対側の電信柱の陰から、突然幼児の乗った子供用三輪車が現れたのだ。慌てて波兵は急ブレーキを踏んでハンドルを大きく回した。自動車は惰性で大きく弾かれて車輌の頭部を電信柱に激突させて止まった。ボンネット部分は大破していた。自動車が申し訳なさそうに言った。「私がついていながら、こんなことになってしまいました。お詫びの言葉もありません」幸い誰にも怪我はなかった。いわゆる自損事故というやつだ。波兵は思わず毒づいていた。「そうだ。わしよりもお前の責任だろうが。何のための人工知能だ。必死で事故を食い止めてこそのA I車といえるんだろうが」それに対して自動車は何も口ごたえをしない。
 そのまま自動車はレッカーで整備工場へと運ばれていった。自力走行もできないほど破損したのだから。
 波兵には、それから家族の非難が待っていた。「お父さん。約束でしたよね。今度、自動車運転でミスをしたら、免許証を返納すると。お父さんの安全のためだし、社会のためでもあるんです」
「もちろん、そのつもりだ。約束を忘れはせん。明日でも免許は返してしまう。ああ、せいせいする」その言葉通り波兵は免許を返納した。事故を起こした自動車は修理工場から戻ってくることはない。手続きをした息子も何も教えてくれないし、波兵も尋ねることはできなかった。メンツがあるから。そしてうすうすと、自分の運転技術に限界を感じていたのは内緒だ。免許返納の時期を考え始めていたときでもあったし、自動車が必要なときは家族がいつでもどこでも送ってくれると言っているし、困ることは何もない。
 波兵が自動車免許を返納して半月。庭の草花をいじっていて、ふと自分の生活に欠けたものを感じた。なにかは、すぐにわかった。誰も自分に話しかけてくることはない。家族は波兵がいなくても楽しそうに語り合っている。「おい、園芸ばさみ知らないか?」「知りませんよ。もっと、ご自分でよく探してください」
 波兵は外出した。電車をいくつも乗り継いだ。自動車があれば簡単なのに。目的の整備工場に着いた。息子はいつもここに頼んでいる。
「こちらに事故を起こしたうちの自動車があると思うが」「ああ、息子さんの要望で廃車いたしました」波兵は腰から力が抜けてへたり込んだ。自分には自動車(あいつ)が必要だったのに。それが波兵にはやっとわかったのだった。家では誰も話し相手になってくれなかった。唯一の話し相手がA I自動車であったことに気がついたのは今朝のことだった。「廃車…」と呟く。「A Iもかね」「ああ、データ消しました。個人情報ですからね。悪用されないように」
 すべて絶望だった。背後から声がした。「自動運転解除ですか?」聞きなれた声。波兵の目から涙が噴き出した。「おまえ!」
 整備士が慌てて言う。「あ、それバックアップデータなんです。これも消さなきゃな」「待て。これだけでも譲ってくれないか」波兵は自動車のデータを持ち帰った。
 それからしばらくして、波兵は孫に三輪車を買い与えた。子守りをする波兵の声は明るい。「ペダルの踏みすぎに注意しましょう」と三輪車が言う。「自動運転!」孫の代わりに波兵が叫んだ。「わかりました」と自動車は答えた。子どもの三輪車にも今はA Iを取り付けることが可能になったのだ。心なしか自動車のA Iの声は朗らかだった。