カジシンエッセイ

第130回 『猫の惑星』が出ます

2015.09.01

 実は、わが家には昔から猫が飼われていて、それが当たり前の光景となっています。ペットを飼う人には猫派と犬派とあるようですが、そういうことでわが家は猫派なのですね。母から孫に至るまで猫ラブなのであります。私はどうかというと、昔から猫に囲まれて暮らしていたので猫以外との生活が考えられないというか。しかも、私がベッドで横になっていると体に飛び乗ってきて「なんで私をほっといて休んでるのよ。早いわよ」と言いたげに胸の上から見下ろしたりする。
 私は完全に猫たちに召使だと思われているようです。
 孫にしても生まれたときから周りに猫がいるので、猫が大好き。
 そんな孫と話をする中で小説が出来上がるという不思議な経過がありました。
 その頃、長編小説のお話をいただきました。400枚を超える連載で、何を書いたら読者の皆さんに喜んでいただけるかを考えておりました。で、小学校高学年の孫に相談したわけです。孫が好むコミックやアニメ、ゲームはどれも評判になる前に「面白い」と言っていたので、孫のセンスは信頼できるということで。
 で、どんな話が読みたい?と尋ねると「そりゃあ、面白い話を読みたい」と当たり前のことを。
「どうやって面白い話とわかるんだい?」
「タイトルと表紙かなあ」
 表紙は、もっと後の話だし、作者はどこまで関われるかわかりません。「うーん。こっちで決められるのは、お話のタイトルくらいかなあ」
「読みたくなると思うタイトルをいろいろ言ってみてよ」と孫。
 それからは、思いつく限りタイトルを並べてみました。孫からなぞなぞを出されて次々と答えていくように。私がタイトルを言うたびに「違う!」と応えてきます。そんな状況で、孫の反応がかすかに変化したのは"猫"という単語がタイトルに入っているときでした。「殺しの猫小僧」とか「猫猫ハンター」では、まだ首をひねっていました。試しに「長靴をはいた猫」を入れてみると、「いまいちだよ」という返事。しかし、「猫」を入れると返事が少し遅れるのは確かなのです。
 そういえば、代々飼っている猫ですが、やはり人とは違った超常的な能力を備えているのでは?と考えてしまう出来事があります。
 昔飼っていたシロという猫が、天井の一点を凝視して唸り続けたことがありました。夜遅くから明け方にかけて。そのときのことは『猫視』というエッセイに書きました。人間に感知できないものが空中に存在しているのを感じているからではないか。そう言い出した娘が、邪気を払う!悪霊退散!と塩をまいたり般若心経を唱えたり。深夜の大騒ぎになっていたのですが、翌朝母が話すには、亡き父が夢の中に出てきたのだとのこと。しきりに母に何かを伝えようとしていたのだが、何を伝えたかったのだろう、と言いました。それで娘を始め、皆がびっくり。塩をまいたり悪霊退散で祓ってしまったのは「おじいちゃんだったのかも」と。
 今はわが家には2匹の猫がいます。きな子とあん子というのですが、2匹にも不思議なものが見えているようです。
 6月下旬に入ってすぐのこと。朝、散歩から帰宅すると、家の中にきな子が。寝室の北西の隅の宙を睨んで唸っていました。ひょっとしてヤモリか蛇でもいるのかと探しましたが、それはないようです、娘が「気のせい!気のせい!おじいちゃんなら、申し訳ないよ」と、きな子をほかの部屋に連れ出しました。すると、その後にあん子がやってきて同じ場所に座って天井を見上げているのです。
がかすかに変化したのは"猫"という単語がタイトルに入っているときでした。「殺しの猫小僧」とか「猫猫ハンター」では、まだ首をひねっていました。試しに「長靴をはいた猫」を入れてみると、「いまいちだよ」という返事。しかし、「猫」を入れると返事が少し遅れるのは確かなのです。
 そういえば、代々飼っている猫ですが、やはり人とは違った超常的な能力を備えているのでは?と考えてしまう出来事があります。
 昔飼っていたシロという猫が、天井の一点を凝視して唸り続けたことがありました。夜遅くから明け方にかけて。そのときのことは『猫視』というエッセイに書きました。人間に感知できないものが空中に存在しているのを感じているからではないか。そう言い出した娘が、邪気を払う!悪霊退散!と塩をまいたり般若心経を唱えたり。深夜の大騒ぎになっていたのですが、翌朝母が話すには、亡き父が夢の中に出てきたのだとのこと。しきりに母に何かを伝えようとしていたのだが、何を伝えたかったのだろう、と言いました。それで娘を始め、皆がびっくり。塩をまいたり悪霊退散で祓ってしまったのは「おじいちゃんだったのかも」と。
 今はわが家には2匹の猫がいます。きな子とあん子というのですが、2匹にも不思議なものが見えているようです。
 6月下旬に入ってすぐのこと。朝、散歩から帰宅すると、家の中にきな子が。寝室の北西の隅の宙を睨んで唸っていました。ひょっとしてヤモリか蛇でもいるのかと探しましたが、それはないようです、娘が「気のせい!気のせい!おじいちゃんなら、申し訳ないよ」と、きな子をほかの部屋に連れ出しました。すると、その後にあん子がやってきて同じ場所に座って天井を見上げているのです。
 もちろん、私には何も見えない。
 この日のことを人に話してみました。何かいるんですよ!という反応やら、虫では?という反応。
 面白いことを仰った方がいたので、紹介しておきます。
 実はこの日は夏至にあたったのですが、この方曰く「夏至の日は空間に穴があくんです。人間にはその穴は見えないのですが、猫にはそれが見えるのです。猫はその穴を見ていたと思います」とのこと。
 なるほどー!
 しかし、何が面白くて猫たちは空間にあいた穴を覗いていたんだろう?
 そこがわからない!
 話は戻ります。
 そんなとき、ポロリと孫に言ったタイトルが「猫の惑星」です。これには孫が喰いついてきました。
「おじいちゃん、それいいよ。絶対読みたい」
 で、構想ゼロから組み立てた「猫の惑星」は最初の読者を孫に想定しました。
 さて、9月中旬に1冊にまとまりPHP研究所より発売になります。
「猫の惑星」、どうぞよろしくお願いします。

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