カジシンエッセイ

第113回 ゴミ戦争がやってくる!

2014.04.01

 いつの頃からでしょうね。私の住んでいる町のゴミ出しルールがこれほど厳密になったのは。昔は、おおらかでした。ゴミ収集日に家庭ゴミを一緒くたにして透明なビニール袋に詰めて、朝から収集場所に出しておくというものだったなあ。
 その頃から、朝のゴミ出し担当は我が家では私でした。だから、資源物の空き瓶や缶の日は何曜日?古新聞や雑誌はいつ?くらいの分別は認識しておりました。いつの頃からかなあ、ゴミ出しルールがパズル化し始めたのは?
 ゴミ袋が有料化し始めたあたりからのような気がします。確か、理由はゴミ処理のコストを下げなくてはならないと行政あたりが言い出したからではなかったかなあ。
 そう。ゴミの種類によってゴミを出す日が分れるようになりました。全部燃えるゴミと思っていたらプラスチックは違います、とか。ペットボトルだけは別の日に、とか。紙類だから燃えるゴミの日に出してもいいだろう、と思っていると、名刺サイズより大きい大きい紙は、紙類の収集日にまとめて出さなくてはならない、と。しかも、その頃からゴミで出せないものも出現するようになりました。大型ゴミです。大型ゴミとは45 この頃から、燃えるゴミは有料のゴミ袋に。埋め立てゴミは、埋め立て有料ゴミ袋に。
 そして行政から家庭にゴミカレンダーが送られてきます。で、ゴミを出せる日は決まっているのです。埋め立て有料ゴミは2週に1回。そして、ペットボトルも空き缶、空き瓶も隔週。しかも、自宅から離れた収集場所へ運ばなければなりません。
 なんとか、そんなゴミ出しルールを覚えたのですが、それでも判断に困ってしまうことはしょっちゅう。ペットボトルに蓋やラベルをつけたまま出して、近所の人に注意されたり。庭の木の葉をいつ出すべきかと悩んだり、古いビデオテープは、どの日に出せばいいんだ?といった具合。まさにパズルなんです。いや、今では、ちゃんとわかるようになりましたよ。
 ゴミ収集日には行政の収集車がやってくるのですが、これが結構厳密で、規定の有料ゴミ袋入っていないと「ルール違反です」のシールを貼って持って行ってくれない。だから、ゴミ収集車がちゃんと持って行ってくれると、「ああ、あの判断で正しかったんだ」とほっとする小心者の私なのであります。この「ルール違反です」シールは、違反状況もチェックされていて、ゴミ出し日が違う!とか大型ゴミだ!とか書かれている。普通の神経なら置いていかれたゴミを出した方は「間違っていたのか」とそのゴミを引き取る筈ですが、そのまま放置される非常識な方もいます。他にも非常識な人といえば、宅配ピザの箱をむき出しのまま、ポーンと置き去りにしていたり。町内の方が、ゴミ収集所で指導しておられる姿を見かけたりもするのですが、それでも四六時中見張っているわけにもいかないので、夜明け前とかにルール無視のゴミが置き去りにされているのを見かけます。それも有料シールが必要な大型ゴミだったり。確信犯だな、と思ったり。
 まあ、このゴミ処理に付いてのコストは上がり続けるでしょうね。とすると、住民のゴミ処理費用も負担が大きくなって行くんだろうな。人間は生きていく上で必然的にゴミを生産してしまう。最終的にはどうなるんでしょう。これからは、ゴミ本位制の社会というのもアリかなと夢想してしまいます。その社会での地位は、どれだけのゴミを処分できるかの資格によって決まる、といったもの。セレブでないとゴミが出せない。一般人のゴミの廃棄量は決まっていて。捨てたければゴミ廃棄権を売買する、みたいになったらどうだろう。貧しい人は家庭ゴミが捨てられず家の中はゴミだらけに。仕方ないから夜中にゴミを持ち出し、他人の家に放り込んで来る。ゴミ防衛のため、ゴミを放り込みに来たものに対しては、銃器を使って投棄を止めさせることも許されるようになる。......ゴミ戦争の世界ですね。ゴミを棄てるか殺られるか!怖そうだなあ。
 焼却できるゴミの総量が家庭毎に規定されても、優先的に焼却できる事情も出てくるんではないかな。例えば不幸があった場合、遺体を焼く権利は与えられるとか。
 そんなときは棺桶を二重底にして、そこにゴミを詰める空間を確保して、その空間のゴミ焼却権を売買する......みたいな状況も発生したら、怖いなあ。いや、もちろん、想像上のお遊びです。私の住まいの周りの状況を参考にはしましたが。
 同じ熊本の田舎町でバーベキューに参加したとき。何でもかんでも同じゴミ袋の中にゴミを放り込んでいるのを目撃しました。
「えーっ。分別しないでいいのですか?」と驚いて尋ねると、「いやあ、こちらは分別かと何も言われませんよ」との返事。
 そうか。所変わればルールも変わるのか。いいなあ。と思いましたが、いづれ、ここも私の町のようなゴミ分別ルールが始まると思いますよ。

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