食欲を直撃する香り |
2012.04.30 |
うなぎの蒲焼の匂いというものは何とも罪深いもの。意識的に通り沿いに向けられたダクトからあの香りが漂うと、思わず暖簾をくぐってしまいそうになるほどの危険な香りだ。
国道219号線沿いの多良木町役場付近を通りかかると、この危険な香りに遭遇する。『うなぎの吉鶴』は、現主人が3代目となる71年の歴史を誇る老舗だ。
初代が戦時中に天草から現在の地へ移住してきて以来、2代目から本格的にうなぎやすっぽんなどを食べさせる店になったという。蒲焼の肝となるタレは、70年以上継ぎ足し作り続けられている甘みとコクの詰まった味わいで、毎日火入れをしては丁寧にアクを取り、保管にも気を使うなどまさに店にとっては宝物のような存在だ。
鰻は宮崎や鹿児島から取り寄せており、分厚く脂ののった味わいの鹿児島産は冬から6月くらいまで。あっさりとした味わいの宮崎産は7月〜11・12月まで楽しめる。地元の鍛冶屋に作ってもらったという独自の鰻包丁を使いさばかれた鰻は、強火でさっと脂を落としたあとにじっくり焼き上げられる。
一匹一匹肉質が違うというから、そこは熟練した目と匠の技で仕上げられることだろう。出来上がった蒲焼はほどよい焼き目と色合い、そして独特な香りに食欲をそそられる。ふわっとして、ほどよい食感と甘みとコクのある味わいは、焼酎に合わせてもよし、契約農家の無農薬米との相性もまた抜群だ。
うなぎの他にも、和食の経験をいかした一品料理や、予約ながらすっぽん鍋や牛テール鍋などもあるので、時間をとってゆっくりと味わい尽くしたい。

『うなぎの吉鶴』
・鰻蒲焼 2,200円(2012年4月現在)
・各種昼食事会 ご予算に応じます
・おまかせコース 3,000円〜
●営業時間/11:00〜14:00、夜は予約のみ
●定休日/不定
■アクセス
熊本県球磨郡多良木町多良木890-4
電話 0966-42-2146









